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ヘルベルト・フォン・カラヤン

恐らく一般的に見た場合、カラヤン程有名な指揮者はいない。クラシック音楽にあまり興味のない者でさえ彼を知る者は少なくない。「指揮者=カラヤン」というイメージはもはや世界的に浸透しているといって好いだろう。実際、カラヤンの録音の累計売上は1億枚を越えるとされる。100万枚が100点で漸く到達出来る数字だ。録音点数が大量に存在し、ロング・セラーが多いとはいえ、ミリオン・セラーとは殆ど縁のないクラシック音楽界でこの数字は驚異的と言えるだろう。ロックやポップスを含めてもビートルズやエルヴィス・プレスリーら数える程しかいない偉業なのだ。”カラヤン・ブランド”こそがクラシック音楽産業全体を支えていたと言っても過言ではない。

何故カラヤンがジャンルを超えた有名人に成ったのか。その最大の要因はカラヤンがメディアを非常に重視していた事だろう。それ以前の指揮者達は実演でこそ本領を発揮するタイプが圧倒的に多く、スタジオ録音で実力をフルに発揮する人は少なかった。尤も、19世紀生まれの巨匠達は片面が5分程度しか収録出来ないSP時代を経験しているし、LP普及当初はモノラル録音しか存在しなかった為、どうしても「一発撮り」が中心に成る。カラヤンも1930年代には録音を行っているから、貧弱な音質の不便な時代を知っているが、技術の向上に伴い、録音に修正を重ねて完璧に練り上げようとした。オペラ等も多くの指揮者は十全な歌い手が揃えられなくても、依頼があれば起用出来る歌手達で録音してしまうが、カラヤンは十全な歌い手が揃う迄録音を行わなかった。こうした録音への徹底的なこだわりが、オケの演奏技術に飛躍的進歩をもたらし、「オーディオ・レコード」時代の到来を齎したのである。CDにいち早く注目したのもカラヤンで、当時の最大収録時間74分は彼のベートーヴェンの「第九」が納まる様に設定されたのだという。映像にも関心を示し、兎に角常にメディアの最先端にいた指揮者であった。顔もニヒルな二枚目で、スターの条件を先天的に備えていた。例えるなら、19世紀の指揮者達は一期一会にかける舞台俳優で、カラヤンは納得いく迄撮り直す映画俳優だったといえよう。


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2007年12月24日 00:36に投稿されたエントリーのページです。

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